| 平成6年度 新医療技術開発研究 |
| (27)5-1-1 |
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治療・看護の業務軽減と患者教育を目的とす
る院内映像情報システム及び電話情報システムの開発
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| (1)国立療養所刀根山病院 |
院長 小倉剛
内科医 伊藤正己 |
| (2)レーベンスクラフト(株) |
谷 白糸 山下 晴郎
佐々木 明彦 木下 紀彦 |
| (3)東京医科歯科大学 |
川原田 淳 |
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| 1.要約 |
病院内映像情報システム(ホスビジョン)は、インタラクティブな映像情報システムを病院内に構築し、看護業務の軽減・省力化を入院患者の治療に対する理解、意欲向上を促すのものである。本年度は、本システムの臨床応用と評価を中心に研究を進め、業務の軽減、患者の理解など、システムの有効性を確認した。本システムは既に病院設備として実用段階に達している。
一方、電話情報システムについては、平成4〜5年度にコードレス電話を利用したバイタルサインの自動収集、データ管理システムを試作、および患者に装着したセンサから測定器までの間をコードレス化することにより、患者の測定環境を向上させることが可能となるコードレスセンサの開発を行い、バイタルサイン自動測定システムとコードレスセンサが組みあわせることにより、病院内の省人化や看護業務の省力化および患者モニタリングの合理化と高精度化がはかれるばかりでなく、患者の入院生活のQOLの向上が期待できることを示した。本年度は、入院患者の各種生体情報の計測記録をコードレス電話を介してパーソナルコンピュータに通信し、カルテの記載や患者トレンドの作成などの自動化をはかることを目的としてコードレス電話とパーソナルコンピュータのインターフェース部およびソフトウェアの開発試みた。 |
| 2.研究目的 |
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本件研究が目的とするのは、看護業務の省力化と患者教育のための病院内映像情報システムおよび電話情報システムの開発である。
病院内映像情報システム(ホスビジョン)は、各病床ごとに設置した端末ユニットと病院内に設置する放送センター、ナースステーション設備および屋上アンテナ部により構成され、それを建物内のテレビ共同アンテナ線(同軸ケーブル)で結ぶものである。
放送センターのメインコンピュータと各端末は、音声・映像のやりとりができる構内双方向CATVシステムである。
放送センターからは、病院独自の自主放送の送出と一般放送の再送信を行い、各端末で受信できる。
放送センターおよびナースステーションからは、任意の個別の患者または特定の大部屋の全員の患者、病棟全体などグループの端末(患者)に対して連絡放送を送出することができ、またその視聴を確認できる。
システムの双方向性を生かし、端末側からの映像・音声を放送センターへ送り、さらに病院内の他の場所でのリアルタイムに視聴することもできる。(手術の実況中継や院内イベントの中継、重症患者のモニターなど)
平成5年までの研究で、ホスビジョンシのハードウェアはほぼ完成した。本年度は平成5年度に引き続き、映像ソフトの制作も含めて本システムの臨床応用と評価を行う。
特に、看護業務の省力化と患者の理解の向上、それによるナンセンスクレームの減少について、システムの機能評価と運用上の検討を行った。また、将来の在宅医療への応用の可能性を踏まえ、機能の拡張についてのニーズ調査を試みた。
電話情報システムは、患者のバイタルサインの自動収集・データ管理システムであり、看護業務の低減や患者の入院生活ノQOLの向上を目的としている。平成4〜5年度は看護業務の低減を目的として、入院患者の体温、呼吸数、心拍数や血圧などの測定記録をコードレス電話を介してパーソナルコンピュータに通信するシステム、および患者の入院生活のQOLを向上させることに重点を置き、バイタルサイン測定のためのセンサと測定器との間のリード線を無線化するシステムなどのハードウェアの設計・試作をおこなった。本年度はこれらのハードウェアを一つのシステムとして運用するためのインターフェース部とソフトウェアの開発を目的として研究を行った。
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| 6.考案 |
a.ホスビジョン
本年度は、主として本システムの臨床応用と映像ソフトの検討と制作、システム運用上のノウハウを得ることを研究課題として、その上で臨床調査を実施し、本システムの総合評価を得る事を試みた。臨床調査では特に(1)看護業務の軽減(省力化)(2)患者理解の向上(3)ナンセンスクレームの減少(それによる業務の軽減)についての評価を得た。調査では更に(4)今後の本システムの
拡張性についての現場のスタッフのニーズを得ることを試みた。
臨床調査の結果、我々の想像以上に本研究の所期の目的は達成されたと言って良い。特定の指導内容に限ったとは言え、各種オリエンテーションでは看護婦の説明時間は半分以下に短縮され、しかも調査に参加
した看護婦のほぼ全員(99%)が「患者の理解は向上した」と評価している。仮に、入院時の説明が30分から10分に短縮されたとすると、例えば平均在院日数30日、50床の病棟であれば年間200時間の看護業務の省力化が果たされたことになる。(50人×20分×12回=200時間)
同様にナンセンスクレームの減少についても98%が評価しており、内容について見ても、件数については回答者の44%、時間については42%が「半分以上」または「7割以上」減少したと回答している。また回答者の74%がホスビジョンを利用することにより患者とのコミュニケーションの機会は以前よりも増えたと評価している。
患者の病気に対する不安、イライラからくるナンセンスクレームは、その対応にとられる時間だけでなく、患者の自発的な闘病意欲の阻害による治療効果の低下、真面目で誠実な看護婦ほど内心に抱えこむ精神的負荷の大きさなど看護婦の業務遂行のうえで目に見えない大きな負担となっている。
ホスビジョンを利用することでコミュニケーションの機会が増えること、ナンセンスクレームの減少は、定量的な時間説明の短縮だけでなく、看護の質の向上と、看護婦に、より充実したベッドサイドでのケアに振り向ける時間と気持ちの余裕をもたらすことが期待できる。
なお、アンケート調査に当たっては各病棟ごとにホスビジョンを利用した患者指導の方法について取材している。共通していえるのは、指導の内容、使用する映像ソフト(ビデオ)によって、対象患者、連絡放送のタイミングは決まっていること、患者の理解度によって同じ内容のソフトでも2回以上放送されること、機器の操作はほぼ全員の看護婦が習熟していることなどである。(全身麻酔の術前オリエンテーションは5日前から毎日1回計5回放送されている)機器の操作性は今回のアンケートの自由回答などを見ても特に問題になっていない。
ただ痛感されるのは、使用しうるソフトの種類がもっとあればいいという意見である。今後、映像メディア利用による患者教育が普及していけば良質な映像ソフトが増えていくことを期待したい。
また今回のニーズ調査でインタラクティブな(対話性のある)本システムの機能向上のニーズが強いことも窺えた。これについては現在の基本使用でも対応できるが、さらに汎用性のある仕様が求められていると思われる。
本研究のもう一つの柱であるバイタルサインの自動計測管理システムとの連動については、アンケートをみても4つの設間の中では最も関心が高く、看護業務の省力化に有効であることが示唆された。研究は本年度が最終年度であるが、在宅医療の社会的な要請と、将来の通信インフラの整備に艦みて、今後の研究上の指針が与えられたと考えている。
b.電話情報システム
本研究において検討した電話伝送システムのインターフェース部と通信処理ソフトウェアの有用性と実用性についてまとめると、まず、ダイヤル番号の伝送に関してはコンピュータのダイヤル番号認識の誤動作もなく、それに対する音声の送信も良好であった。次に、患者のデータ管理を行うソフトウェアについては、まだ基礎段階のプロトタイプであり、実際の病院内における応用へは大きな開きがあるが、本システムの実用化への足掛かりとしては、ほぼ要求を満たしたといえる。
本電話情報システムは双方向の情報の伝送が可能なテレメータ(コードレス電話)を利用し、ベッド回りの時に測定する血圧、体温などの情報をナースステーションなどに設置されたコンピュータに伝送し、患者データの記録、処理などを管理することを目的として開発を行った。電話情報システムに関しては、今回の研究プロジェクトの期間において、臨床応用できるに十分な段階までには至らなかったが、本システムが看護業務の軽減やICU
などにおける自動監視を実現するシステムの開発などに対して大きく寄与できる可能性を示したと考える。
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| 7.まとめ |
a.ホスビジョン
本年度は、病院内映像情報システム(ホスビジョン)の臨床応用を行い、システム運用上の知見を得るとともに、臨床調査によって本システムの総合的な評価を行った。その結果、看護業務の軽減、患者の理解の
向上、ナンセンスクレームの減少のいずれにも、本システムの有効性が確認された。
b.電話情報システム
本年度の研究成果をまとめると、
1.コードレス電話を利用した双方向テレメータによる生体情報計測システムを試作した。
2.電話情報システムにおけるコードレス電話とパーソナルコンピュー
ター間の情報伝送のためのインターフェー ス部の試作を行った。
3.患者バイタルサインの自動収集・データ管理システムの完成を目指し
て、測定シーケンスの制御とデータの信 号処理や記録・保存のための
ソフトウェアの開発を行った。 |
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